この記事は蕎麦鑑定士のレポートとして書いた内容です。
【食味体験の感想、お薦めしたい部分】
石臼挽き純手打ちそば村田屋は金沢市諸江の大型ショッピングセンターのアルプラザ向かいにあります。数代続いている歴史ある店です。現在の店主の村田隆仁さんは平成初期に手打ちそば中心の店に変えました。それからは金沢で蕎麦通が通う蕎麦の人気店になっています。さらに2014年7月17日に店内をゆったりと食事できるよう改装しリニューアルオープンしました。
そのリニューアルオープン初日に行ってきました。
村田屋さんの特徴は、石臼挽き自家製粉の打ちたての蕎麦粉を使って手打ちした蕎麦です。蕎麦の産地は地元産が中心。石川県能登産や福井県大野産や丸岡産の蕎麦などがよく使われています。今日の蕎麦は福井県大野産の蕎麦でした。
福井県大野産の蕎麦の特徴はなんといっても香ばしい蕎麦のいい香りです。香りで蕎麦を選ぶなら大野産の蕎麦粉が一番だと思います。今日の蕎麦はその大野産の蕎麦粉100%で打った蕎麦だったので楽しみです。
村田屋さんでは常時、十割蕎麦と二八蕎麦の二種類が用意されています。店内のメニューでは二八蕎麦を中心に構成されていますが、十割蕎麦に変えてもらうこともできます。もちろん単品の十割蕎麦のメニューもありますし、種物やご飯類も充実していてかなり選択肢が豊富な蕎麦屋さんです。
今日いただいた蕎麦は「おしぼり」という蕎麦。リニューアルオープン初日で店内は混雑していることから、二八蕎麦の定番のまま注文しました。でもたっぷり食べたかったので大盛りにしましたけどね。
「おしぼり」とは、大根おろしの絞り汁をベースにしたダシでいただく蕎麦です。ダシは大根おろしの絞り汁だけに醤油と砂糖で仕込んだ「かえし」だけを加えたシンプルなものです。このしぼりダシはいい蕎麦の味わいを深めてくれます。大根おろしの辛みと醤油の旨みが抜群の相性。カツオダシを入れてないので香りもおだやか、蕎麦の微妙な香りを壊さないのもいいところです。
村田屋さんの蕎麦は細くきれいな信州蕎麦風の打ち方を志しているようで今日も美しい蕎麦です。箸をつける前から蕎麦のいい香りが漂ってきます。まず蕎麦だけをいただきます。なにもつけずに蕎麦だけを食べるのが私の流儀ですが、村田屋さんの蕎麦はこの一口目の蕎麦が抜群に旨い!
細くて腰のある蕎麦で噛むと蕎麦の旨みが溢れでてきます。麺を氷水でよくしめたのでしょう、冷たい蕎麦の食感はこの蒸し暑い時期にはうれしい配慮です。ツルコシだけでなく噛んで味わう蕎麦が好きな私としては本来太麺のほうをよく選択します。しかし、村田屋さんの細麺は別格です。よく噛んで味わえる数少ない絶品の細打ち蕎麦なのです。ひとくちだけのつもりだったのに、かなりの量をダシを使わずに食べてしまいました。やはり「蕎麦そのものが旨い」というのがなによりのごちそう。
その後は、おしぼりのダシを使い、ざるそばのようにつけめんで食べます。大根おろしの辛みのバランスがよく心地よい刺激です。蕎麦を噛んで喉に送り込んだ後に蕎麦のよい香りが鼻に抜けるような感覚があります。大盛りで頼んだ蕎麦もあっというまに平らげてしまいした。
そば湯もおいしいんです。濃い目の味わい深いそば湯が好きです。今日のそば湯は濃さもちょうどよく香りも立っておいしくいただけました。いただいた後しばらくした後味もよく、いい蕎麦を使っているんだな~と実感します。
ちなみに、私はベジタリアンなので魚介類は食べません。かつおの効いたダシは苦手なので、普通の蕎麦屋では注文時にダシ不要かつお節抜きと伝えることが多いです。
「おしぼり」というメニューは鰹ダシを使っていないので、特別なオーダーをお願いしなくてもそのまま注文できるありがたいメニューでもあります。私にとっては蕎麦を味わいつくせる小宇宙空間。蕎麦の楽しみを凝縮したようなメニューがこの「おしぼり」です。
【こうしていただけたら、うれしいという、お店への提案】
今日からリニューアルオープンし、店内が広く美しく快適になっていました。以前は店内にテレビがありテレビ番組を流していましたが、なんだか大衆食堂みたいでちょっと残念な気分でした。今はテレビがなくなってBGMが流れていました。そのBGMですが、できればJAZZにしてほしいですね。それもサックスや管楽器を使わないピアノトリオ中心にしてくれるといいなと思います。とくに夜営業のときはそのほうがいいです。会話しながら食事するときはボーカルものの音楽は耳障りなので、JAZZがいいんです。サックスの音域は人の話す周波数に近いので、その周波数帯の少ないピアノトリオがいいというわけです。
お酒とお蕎麦をいただける数少ない手打ちそばのお店なので、夜に長居できるような配慮をしていただけると、もっと夜に行きたくなりますね。
あと、せっかくの石臼挽き自家製粉ですが、その石臼が店内ではなく奥の方に移動してしまったようです。以前の店舗のように石臼が見えるともっといいんですけどね~。ま、店内を広く使うための選択としてはやむを得ないのかなとも思いますが…。
▼後日いただいた十割そば、やはり十割そばは香りが抜群にいいです。
【食味体験をした日時】
2014年7月17日(木)12:30
【受講生のお名前と読み】
遠田幹雄(とおだみきお)
【受講生のご住所】
石川県かほく市木津ロ64-1
【サイトに発表する際のハンドルネーム】
どもども遠田
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【食味体験をした店名】
石臼挽き純手打そば 村田屋
【店名の読み(ひらがな)】
いしうすびきじゅんてうちそば むらたや
【店の電話番号】
電話 076-231-6900
【店の住所】
石川県金沢市諸江町上丁307-15
【アクセス】
JR金沢駅・西口より車(タクシー)で5分「アルプラザ前のそば屋」でわかります。
北鉄バス「上諸江」停留所を下車、徒歩1分
北陸鉄道・浅野川線(電車)「上諸江」下車、徒歩5分
【営業時間】
昼夜通し営業 11:00~21:30
【定休日】
火曜日
【ひとり分の平均的な予算】
昼 780円~1500円
【予約】
可
【クレジットカード】
不可
【個室】
無
【席数】
38席(テーブル4卓、小上がり3卓)
【駐車場】
有 10台以上駐車可
【煙草】
禁煙
【アルコール】
有
【店のホームページ】
なし
※この記事は蕎麦鑑定士の試験として年間4件以上のレポートを義務付けられておりそのひとつです。なお、蕎麦WEBのほうにはレポート提出と同じ内容を当サイトにも掲載することを許可を得ています。
村田屋 (いしうすびきてうちそば むらたや)
076-231-6900
石川県金沢市諸江町上丁307-15
営業時間 11:00~22:00(LO21:30)※定休日は火曜日
このサイト(北陸の蕎麦食べ歩き)について
ご意見ご感想がありましたらこちらのフォームから送信ください。この「蕎麦食べ歩き北陸」というブログは遠田幹雄が一人で写真を撮影し主観で記事を書いています。
【特徴と傾向】本人は蕎麦好きのベジタリアンで肉と魚を食べません。鰹節が苦手なので蕎麦屋ではできるだけカツオ系は外してもらっています。鰹が強いダシは香りが強すぎて苦手なため、鰹が効いた出汁は使いません。大根おろし汁で食べるおろし汁蕎麦が一番の好みですが、醤油系のかえしや塩だけで食べる蕎麦も好きです。また、蕎麦は太めで香り高いものが好きで、蕎麦の香りをじゃまするような種物はあまり一緒に注文しません。
そのような理由から、このWEBサイトの写真は「鰹節なし」「ダシなし」の蕎麦だけのものが中心です。偏った情報に見えるかもしれませんがご容赦願います。
2015年2月に蕎麦鑑定士4級になり、2018年3月には蕎麦鑑定士1級に認定されました。1級認定まで4年かかりましたがよい勉強をさせていただきました。今後も趣味として(食道楽として)の「お蕎麦の研究」を続けていきたいと思います。どうぞよろしくおねがいします。
※遠田幹雄公式ブログには「蕎麦カテゴリ」もあります。蕎麦好きの方は遠田幹雄BLOGの蕎麦カテゴリもご覧になってみてほしいです。
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※遠田幹雄は株式会社ドモドモコーポレーションの代表取締役です。