多門(たもん)といえば知る人ぞ知る蕎麦の師範。これまでもいくつもの蕎麦の名店を指導されてきたことでも有名な方です。多門(たもん)の店主自らが打つ蕎麦は、透明感があって凝縮された蕎麦の旨みが詰まった作品のようなお蕎麦です。ダシ不要で、蕎麦だけで最後までおいしく食べきることができる稀有な蕎麦をだされています。
数年前までは富山県小矢部市で多門(たもん)の看板をあげていましたが、ひっそりとのれんをおろしていて、もう食べることはできないのかと残念な気持ちになっていました。
それがなんと、今年金沢市高尾町の民家を改装してオープンされたと聞き、うれしくなって食べに行ってきました。
たもん ざる蕎麦は900円
たもん おろし蕎麦は950円
独特の透明感は健在でした。この蕎麦はどうしてこんなに美しいのでしょうか。細麺ですが、十分な硬さとコシがあります。隣の席で蕎麦をひとくち食べた中高年ご夫婦づれの奥様が「固い」と思わずつぶやいたのが印象的。固いという印象のあとに噛みごたえある蕎麦の旨みがやってきます。
蕎麦は、福井県産の玄蕎麦を自分で石臼でゆっくりゆっくりと手挽きした蕎麦粉を使い二八で打っているようです。香りよりも味わい重視かなと思います、このたもんの蕎麦は。出していただいた「ダシ」はいっさい使わず食べました。(なお、持参した「マイ塩」は少量使用しましたが)
久しぶりにご主人とお話ししました。「最初の一口目はどのお蕎麦屋さんでもダシをつけずにいただきますが、たもんさんの蕎麦は最後までダシ不要ですね。」とい申し上げました。すると笑って返された言葉は、「ダシを使わずに食べられる蕎麦というのは蕎麦屋として提供する蕎麦の品質のガイドラインである」というような意味のことでした。なるほど、ダシを使わなくてもおいしく食べられる蕎麦を強く意識しているんですね。石臼で手挽きするという手間もそのような理由からだそうです。
おいしい蕎麦でした。ごちそうさまです。
多門(たもん)の高尾町の店はとてもわかりにくく、初めて行くときは道に迷いますのでご注意を。
そば切り 多門(たもん)
石川県金沢市高尾町ソ48
電話 076-298-7037
営業時間 11:30~14:30
定休日は月火水(木金土日は営業)
【追記】
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ご意見ご感想がありましたらこちらのフォームから送信ください。この「蕎麦食べ歩き北陸」というブログは遠田幹雄が一人で写真を撮影し主観で記事を書いています。
【特徴と傾向】本人は蕎麦好きのベジタリアンで肉と魚を食べません。鰹節が苦手なので蕎麦屋ではできるだけカツオ系は外してもらっています。鰹が強いダシは香りが強すぎて苦手なため、鰹が効いた出汁は使いません。大根おろし汁で食べるおろし汁蕎麦が一番の好みですが、醤油系のかえしや塩だけで食べる蕎麦も好きです。また、蕎麦は太めで香り高いものが好きで、蕎麦の香りをじゃまするような種物はあまり一緒に注文しません。
そのような理由から、このWEBサイトの写真は「鰹節なし」「ダシなし」の蕎麦だけのものが中心です。偏った情報に見えるかもしれませんがご容赦願います。
2015年2月に蕎麦鑑定士4級になり、2018年3月には蕎麦鑑定士1級に認定されました。1級認定まで4年かかりましたがよい勉強をさせていただきました。今後も趣味として(食道楽として)の「お蕎麦の研究」を続けていきたいと思います。どうぞよろしくおねがいします。
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※遠田幹雄は株式会社ドモドモコーポレーションの代表取締役です。